”ピカソのデッサンには、すばらしいものがある。また、パウル・クレーやミロの絵には、幼児画のような、落書きのような、そして漫画的な感じがある。
しかし絶対に幼児画ではなく、落書きでもなく、漫画でもない!
なぜかというと、これらの画風は、すべて写実的なデッサインのキャリアから生まれたたまものだからだ。
ピカソの末期の作品は、アフリカの原始文明を思わせるシンプルなものが多い。
しかし、ピカソが「青の時代」と呼ばれる若い時期に描いたものを見ると、きわめて厳格な写実画から、しだいに変貌していったことがわかる。
漫画や落書きはそうではない。はじめっから、デッサンも写実もヘチマもないのだ。描きたいものを思うがままに描きなぐる、そこから始まって、そこで終わるのだ。
絵が描けないと思い込んでいる紳士淑女よ。絵が下手だとなげいている子どもや学生や青年諸君、ご心配なく。漫画なら、きっとあなたにも描けます。”

(手塚治虫『マンガの描き方』)

大塚英志「アトムの命題」より

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